グランプリ静岡2017に向けて各地でGPTが行われています。
今日は今後のメタゲームに大きく関わるPWC協賛の「GPT静岡@秋葉原 PWC協賛大会514th」のトップ8から今後のスタンダード環境のメタゲームにいて考察してみたい。
トップ8 デッキ分布
- 青赤エネルギーコントロール(優勝)
- 黒緑ビートダウン(準優勝)
- 白黒コントロール
- 黒緑昂揚ビートダウン
- 白青緑クロックパーミッション
- 白単ビートダウン
- 白黒赤ビートダウン
- 白青緑クロックパーミッション
突然だがこちらのスタンディングを見て、何か違和感を感じないだろうか。
そう。
先週まで賑わせていた、「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」コンボを有したデッキがいないのだ。
それどころか、トップ8でそれぞれのカードは1枚たりとも採用されていない。
デッキリストの詳細についてはPWCの公式情報を参照してもらいたい。
現場の状況を見ていないのではっきりしたことは言えないが、まさにメタゲームの結果なのだろう。
「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」コンボは往年の欠片の双子コンボを思わせる強力な2枚コンボだが、クリーチャーとプレインズウォーカーがコンボパーツのため妨害が容易なのが弱点だ。
トップ8のデッキは、いずれもメインボードからインスタントタイミングでこの無限コンボに介入できるカードが採用されている。
中には「領事の権限」によりコピーしたクリーチャーにタップインを強要するプランも垣間見えた。
これはまるでプロツアー『カラデシュ』で当時トップメタと目された「霊気池の驚異」デッキが、その強烈なメタゲームによってトップ8に残ったのはわずか1名だったのと同じような流れを感じてしまう。
では2017年グランプリ静岡で「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」デッキに未来はないのだろうか?
私はそうとは思わない。
「霊気池の驚異」デッキとの違いは揃ったらほぼ勝ちの2枚コンボと言う点
「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」デッキはコンボ達成が非常に容易だ。
なおかつ揃ったら、盤面はほぼ関係なく勝ってしまう強力なもの。
コンボ阻止が容易な一方で、もしその一手が挫かれたならそのまま負けてしまうということなのである。
2000人超が参加するグランプリでは、予選ラウンドだけで相当な試合数を必要とする。
となると、こういった勝っちゃう系のデッキは、たとえほぼ負けの状態からでも1枚で逆転できてしまうため、まぐれ勝ちも含めて非常に太いデッキと言える。
なおかつ、最近の傾向を見ていて思うのは、このデッキの強さは一概にコンボデッキとは言えなくなった多様性にこそあるだろう。
「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」コンボの多様性に見るカメレオン戦術
先週のトップ8では様々なタイプの 「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」デッキが披露された。
まずは純正のデッキレシピ。
優勝 サトウ ケイスケ 白青赤《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》コンボ
メイン 60枚
4《平地/Plains》
5《島/Island》
3《感動的な眺望所/Inspiring Vantage(KL)》
3《尖塔断の運河/Spirebluff Canal(KL)》
4《港町/Port Town(SI)》
4《霊気拠点/Aether Hub(KL)》
3《さまよう噴気孔/Wandering Fumarole(OG)》4《守護フェリダー/Felidar Guardian(AE)》
3《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KL)》2《ショック/Shock(AE)》
4《予期/Anticipate(BZ)》
4《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KL)》
2《否認/Negate(AE)》
4《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KL)》
1《停滞の罠/Stasis Snare(BZ)》
1《虚空の粉砕/Void Shatter(OG)》
1《不許可/Disallow(AE)》
1《光輝の炎/Radiant Flames(BZ)》
3《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KL)》
3《燻蒸/Fumigate(KL)》
1《疑惑の裏付け/Confirm Suspicions(SI)》サイド
1《払拭/Dispel(BZ)》
1《否認/Negate(AE)》
2《電招の塔/Dynavolt Tower(KL)》
1《稼働停止/Decommission(AE)》
1《光輝の炎/Radiant Flames(BZ)》
4《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BZ)》
2《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger(SI)》
1《秘密の解明者、ジェイス/Jace, Unraveler of Secrets(SI)》
1《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver(OG)》
1《隔離の場/Quarantine Field(BZ)》
これもすでにトリコカラーのコントロールっぽいよね。
そして、目を疑ったナイスなアイディア達。
これ以降は本来大部分が赤文字になるのですが、デッキリスト全体が赤くなってしまうので、その中でも興味深いところのみにしております。
準優勝 センバ コウタロウ 4色無限コンボビートダウン「ミサカはミサカの先手必勝2017」
メイン 60枚
1《平地/Plains》
2《島/Island》
2《山/Mountain》
5《森/Forest》
4《霊気拠点/Aether Hub(KL)》
2《燃えがらの林間地/Cinder Glade(BZ)》
1《大草原の川/Prairie Stream(BZ)》
2《植物の聖域/Botanical Sanctum(KL)》
3《進化する未開地/Evolving Wilds(BZ)》4《牙長獣の仔/Longtusk Cub(KL)》
4《導路の召使い/Servant of the Conduit(KL)》
4《ならず者の精製屋/Rogue Refiner(AE)》
3《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AE)》
3《守護フェリダー/Felidar Guardian(AE)》
4《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk(KL)》
4《歩行バリスタ/Walking Ballista(AE)》4《霊気との調和/Attune with Aether(KL)》
4《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KL)》
3《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KL)》
1《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship(KL)》サイド
2《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection(KL)》
2《節くれ木のドライアド/Gnarlwood Dryad(EM)》
2《石の宣告/Declaration in Stone(SI)》
2《否認/Negate(AE)》
2《垂直落下/Plummet(BZ)》
2《自然廃退/Natural Obsolescence(AE)》
3《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SI)》
ビートダウンとのハイブリットタイプのデッキレシピですね。
さらに、この発想はなかったっす。
ベスト8 アベ ミチオ 白青赤《金属製の巨像/Metalwork Colossus》「Colossus Apocalypse」
メイン 60枚
2《平地/Plains》
4《島/Island》
2《沼/Swamp》
1《山/Mountain》
4《霊気拠点/Aether Hub(KL)》
4《産業の塔/Spire of Industry(AE)》
4《ウギンの聖域/Sanctum of Ugin(BZ)》
2《発明博覧会/Inventors' Fair(KL)》4《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KL)》
4《守護フェリダー/Felidar Guardian(AE)》
4《金属製の巨像/Metalwork Colossus(KL)》2《改革派の地図/Renegade Map(AE)》
4《予言のプリズム/Prophetic Prism(KL)》
4《金属の叱責/Metallic Rebuke(AE)》
4《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai(KL)》
4《耕作者の荷馬車/Cultivator's Caravan(KL)》
1《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AE)》
2《面晶体の記録庫/Hedron Archive(BZ)》
2《バラルの巧技/Baral's Expertise(AE)》
2《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship(KL)》サイド
4《致命的な一押し/Fatal Push(AE)》
2《領事の権限/Authority of the Consuls(KL)》
3《否認/Negate(AE)》
2《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BZ)》
2《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AE)》
2《燻蒸/Fumigate(KL)》
ストライクと大会より
天才的ですね。
ターボ巨像とのハイブリットなんてよく思いついたと言うか、着想までは理解できても、よく実際に作ったなと感服してしまいます。
これ以外にも、どちらかというとベーシックな緑をタッチしたデッキレシピもありますね。
このように、新スタンダード環境になって数週間の間に「サヒーリ・ライ」+「守護フェリダー」を軸にしたデッキだけでこれだけのアーキータイプができているのです。
私はここまで短時間にこれだけの細分化を見たことがありません。
ここ数年のスタンダードのメタゲームの早さは確かに目を見張るものがありましたが、これはそれをはるかに凌駕しています。
期待せざるを得ない。天才達とその可能性に。
やばいっしょ。
楽しすぎるっしょ。
さすがにここまでされると、サヒーリ系コンボデッキ試したくなります。
もちろん、今週のPWCトップ8にサヒーリ・ライが不在だったことを忘れてはいけません。
ただし、みなさんお分かりの通り、まだ始まったばかりなんです。
いやー、グランプリ静岡2017今から楽しみでしょうがないです。
三度の飯よりギャザが好き!
以上、現場からガッキーお送りしました。