「デッキに最適な土地の枚数は何枚だろう?」マジックをプレイしたことがある人なら、少なくとも一度は考えるトピックスではないでしょうか。
極端なコンボデッキを除いては、基本的には序盤で順調にランドセットでき、マナカーブに沿ってカードをプレイすることが大切だということは誰しも理解していることです。
かといって、中盤以降の土地はできれば引きたくないもの。
均衡したマッチほど2連続3連続の土地ドローで負けてしまうことはよくある話です。
そこで今日は、CHANNEL FIREBALLのFrank Karsten氏執筆のコラム「How Many Lands Do You Need to Consistently Hit Your Land Drops? By Frank Karsten」の特に重要だと思った部分を私ガッキー(@blueskyneo)が意訳しましたので、一緒に「デッキに最適な土地の枚数」について考えてみましょう。
もちろん、これは絶対的なものではありません。
しかし、リチャード・ガーフィールド氏が用意してくれた、1ターンに1枚のランドセットというマジック:ザ・ギャザリング不変の均整に、数学的に迫ってみたいとは思いませんか。
この記事の目次
- 方法1ブレないマリガンルールで、もう迷わない後悔しない!(意訳)
- 方法2データに基づく検証(意訳)
- 結論:デッキに入れる土地の最適な枚数とは?(意訳)
- 頭から煙が出そうだぜ。大切なことだけ最後にもう一度。
方法1ブレないマリガンルールで、もう迷わない後悔しない!(意訳)
この検証では、4ターン目まで毎ターン土地をプレイできる確率を求める。
設定するマリガンルール(キープ基準)は以下の通りです。
- 7枚:手札に土地が0〜1または6枚の時にはマリガン。
- 6枚:手札に土地が0〜1または5枚の時にはマリガン。
- 5枚:手札に土地が0または5枚の時にはマリガン。
- 4枚:いずれの手札もキープ。
私の経験では、このマリガン戦略は多くのデッキで合理的です。
1ランドキープするような早いデッキや、2ランドをマリガンし6ランドをキープするような遅く重たいデッキもあります。
しかし、すべてのタイプのデッキに同じマリガン戦略を用いることで、土地の使用枚数が異なるデッキ同士を比較しやすくなりました。
計算式 最適な土地の枚数は?
※原文を元にしたガッキーによる手書きノートです。
※ガッキーより:上の画像にあるFrank Karsten氏の数式では、60枚でデッキ構築した際、使用する土地が17~28枚の場合の先手と後手それぞれの確率がわかります。
先に示したマリガンルールがキープ基準です。
また、マリガンした場合占術によって見たカードは土地ならば上へ、呪文ならば下へ送ることを前提とします。
結果発表
※小さい場合は画像をクリックして拡大てご覧ください。
表の見方は、縦軸がデッキに使用している土地の枚数で、横軸がNターン目にN枚の土地を置ける確率です。
2つの数字がありますが、最初のパーセンテージは後手の場合。2番目の数字は、先手の場合です。
「初手の手札枚数の期待値」は全てのマリガンが終わった後の手札の平均枚数です。
また、最後の列の「マナフラッド率」は7ターン目までに少なくとも8枚の土地を引く確率です。「初期手札の枚数+通常ドロー6枚のうち8枚が土地」ということですね。
リミテッドでの検証
※小さい場合は画像をクリックして拡大てご覧ください。
リミテッドで慣例の17枚の土地の数は、スタンダード構築の25枚の土地の数に似ています。
25×40/60=16.7のため、これもちゃんと意味があります。
典型的な限定構築のデッキでは、序盤に3枚の土地が必要で4枚目の土地も欲しいですが5枚目の土地は必ずしも必要ではないため、古より語り継がれる「リミテッド土地17枚説」は正しいようだ。
方法2データに基づく検証(意訳)
私は最近のプロツアー3つ(カラデシュ・霊気紛争・アモンケット)のトップ8のデッキリストと、8-2以上の成績を納めているデッキリストの全部で78個のデッキリストを元に検証を行なった。
これらのデッキごとに私は土地の枚数(「霊気との調和」や「ウルヴェンワルドの横断」も含む)と、土地以外の平均マナコストを書きとめました。
これらのスタンダードのデッキでは、ほぼすべてのデッキに22~26枚の土地があり、最も一般的な24枚がはるかに多いため、直近の4つのモダングランプリ(神戸・コペンハーゲン・バンクーバー・ブリスベン)のトップ8のデッキ合計32個も追加して検証することにしました。
特別なケース
次のようなケースは特例として扱うようにします。
- スタンダードでは、土地を得ることを目的とする低コストの呪文が、土地と1マナのカードの両方とカウントされていました(「霊気との調和」や「ウルヴェンワルドの横断」)。モダンでも同様のアプローチがありましたが「ウルヴェンワルドの横断」は例外です。昂揚はとても簡単ですし、クリーチャーを持ってくる方が強いので、私は土地としてはカウントしませんでした。マナを生み出すカード(「オパールのモックス」など)は土地としてカウントしました。「霊気の薬瓶」も同様です。
- マナクリーチャー(「導路の召使い」や「貴族の教主」など)は土地としてはカウントしませんでした。また、マナアーティファクト(「精神石」や「耕作者の荷馬車」など)や、低コストのドロー/選択呪文(「発生の器」や「血清の幻視」や「ミシュラのガラクタ」など)も土地としてはみなしませんでした。
- コストを低減することができるカード(「ホネツツキ」や「黄金牙、タシグル」や「膨らんだ意識曲げ」など)は、最大限に低減させたマナコストでカウントしています。例外は、8マナのカードとしてカウントした「約束された終末、エムラクール」です。
- X呪文については「虚空の杯」を0マナ、「闇の救済」を1マナ、「歩行バリスタ」を2マナ、「隔離の場」を4マナとしてカウントしています。
- 「通りの悪霊」は0マナ、「砂漠セロドン」「巨怪なオサムシ」「遺棄地の恐怖」は1マナのカードとしてカウントしています。
線形回帰の結果
※グラフは原文を元にしたイメージです。
※ガッキーより:Frank Karsten氏はこれらのデータを元に、デッキに使用している土地の枚数と、デッキの平均マナコストの散布図を作り、デッキタイプを問わず統計上平均的な土地の枚数を求められるようにしました。
詳細はこちらでは割愛します。
とりあえず、この数式は覚えておいた方がいいかもしれませんね。
Lands = 3.14*(avg CMC)+16.0
avg CMCは、デッキ内の土地以外のカードのマナコストの総和を、土地以外のカードで割った数です。
結論:デッキに入れる土地の最適な枚数とは?(意訳)
2つの方法論のキー値をテーブルにまとめることで、60枚のデッキの推奨される土地の枚数を出すことができます。
統率者の場合は、推奨される土地の数に99/60をかけることで求めることができます。
リミテッドでは40/60をかけると、おおよそ最適な数字を求めることできます。
なお、こちらの表の「土地の数」を正しく解釈するには「霊気との調和」や「霊気の薬瓶」のようなカードを土地としてカウントする必要があります。
詳しくは、先述した「特殊なケース」をご確認ください。
推奨の土地の数 | 平均マナコストの範囲 | デッキタイプ(パーセンテージは先手の場合) |
18 | 0.48-0.80 | ローカーブデッキ - 機能するには1〜2の土地が必要です。デッキに3マナ以上のスペルが入ってない。 |
19 | 0.80-1.12 | ローカーブデッキ - 2ターン目(97.7%)に2つの土地が必要ですが、3ターンでは3枚目(76.5%)のランドセットできます。 |
20 | 1.12-1.44 | ローカーブデッキ -2ターン目(98.3%)に2つの土地が必要ですが、3ターン目に(79.6%)に3つの土地がランドセットできます。 |
21 | 1.44-1.76 | アグロデッキ - あなたは、すべてのゲーム(98.8%)で2ターン目に2つの土地が必要ですが、3ターンでは3つめの土地(82.3%)がランドセットできます。 |
22 | 1.76-2.08 | アグロデッキ - あなたは、すべてのゲーム(99.2%)で2ターン目に2つの土地が必要ですが、3ターンでは3つめの土地(84.7%)がランドセットできます。 |
23 | 2.08-2.40 | アグロデッキ - ほとんどのゲームで3ターン目に3つの土地が必要です(86.8%)。 4ターン目で4つの土地(67.7%)が欲しいが絶対ではない。 |
24 | 2.40-2.72 |
ミッドレンジデッキ - ほとんどのゲームで3ターン目に3つの土地が必要です(88.7%)。 4ターン目に4つの土地(71.3%)が欲しいが絶対ではない。 |
25 | 2.72-3.04 | ミッドレンジデッキ - 機能するためには3枚の土地(90.4%)が必要で、比較的頻繁に4枚目の土地が欲しい(74.7%) |
26 | 3.04-3.36 | コントロールデッキ - 機能するためには3枚の土地(91.8%)が必要で、比較的頻繁に4枚目の土地が揃う(77.9%) |
27 | 3.36-3.68 |
コントロールデッキ - 機能するためには4枚の土地(80.8%)が必要で、しっかりと5枚目の土地が欲しい(65.3%) |
私の分析が世界中のデッキビルダーにとって有益であることを望みます。
あなたのデッキが正しい数の土地であるなら、マジックはもっと楽しいでしょう。デッキに使う土地の数を間違えてはいけませんよ!
頭から煙が出そうだぜ。大切なことだけ最後にもう一度。
今回のFrank Karsten氏の検証で特に考慮すべきことは、デッキ構築をする上で必要な土地の枚数を求める「Lands = 3.14*(avg CMC)+16.0」の公式と、方法1で示された任意のターンで引く土地の確率(期待値)ではないかなと思います。
さらに、個人的に私が気になったのはマリガンルールで示されたキープ基準ですね。
実際には1ランドキープする時もありますし、十分な土地があっても呪文の内容によってマリガンを選択することはありますが、こういったひとつの指標があると便利ですよね。
さてさて、私自身英語も数学もそれほど得意でないので、今回の記事はこのブログをやっていて一番時間がかかりました(笑)
おかしいところなどあったらご指摘いただけると幸いです。
最後に、このような有益なコラムを投稿してくれたFrank Karsten氏に心から感謝します。
あなたの望み通り、少なくとも日本のデッキビルダーにあなたの数式は有益であることでしょう。
三度の飯よりギャザが好き。
以上、現場からガッキー(@blueskyneo)がお送りしました。
and, my friends.
原文:「How Many Lands Do You Need to Consistently Hit Your Land Drops?」